芸術(7類)

完全なるチェス 井塚章文の本棚

完全なるチェス

チェスの世界チャンピオンになった人物の伝記なのだが別にチェスを知らなくってもかまわない本だ。それだけこの主人公ボビー・フィッシャーが興味深い人物だということである。移民のシングルマザーの子供であるボビーは最近流行りの言葉でいうと発達障害のある天才ということになるのでしょう。異常な集中力持続力により若…
中国と 茶碗と 日本と 井塚章文の本棚

中国と 茶碗と 日本と

タイトルは難しい。読み終えればそういう話かと納得するのだが。どうして中国と日本の茶碗の文化は違いが出来たのかという話である。国宝の茶碗は中国製が多い。それでは本国ではもっと優れた作品が残っているのか。ところが日本で評価されるタイプの優品は中国に残っていないという。単純にいえばそれぞれの国の文化を含め…
SCRAP『人狼村からの脱出』 中島駆の本棚

SCRAP『人狼村からの脱出』

人狼ゲームというのはもともとはボードゲームだったらしい。それを大規模なイベントにしたのが、京都でフリーペーパーの発行などをしていたSCRAPという企画集団。はじめは自身のフリーペーパーでひっそりと告知されたものだったが、ふたを開けてみると応募者が殺到。「リアル脱出ゲーム」と銘打たれて全国に飛び火し、…
スタジオジブリ絵コンテ全集19『風立ちぬ』 中島駆の本棚

スタジオジブリ絵コンテ全集19『風立ちぬ』

白状すれば、ジブリ映画の熱心なファンというわけではない。映画館で鑑賞したのは『風の谷のナウシカ』以来だから、今回の『風立ちぬ』もおよそ30年ぶりの映画館での鑑賞となる(テレビ放送やDVDで全作品を観てはいるが)。これまで宮崎アニメをあまり評価してこなかったのは(などと書くと、ずいぶんとエラそうな物言…
さわり 井塚章文の本棚

さわり

「さわり」とは元々、三味線や琵琶といった邦楽器の構造で糸を本体に触れさせ、その音とともに 軽い雑音を生じさせるものらしい(表紙の写真はその場所か)のですが転じて(どう転じるのか不明ですが)最大の聞かせどころを意味するようになったらしい。さらに物語の最初の部分と誤用されているという。本書で特にこの言葉…
諏訪根自子 井塚章文の本棚

諏訪根自子

面白かった。昭和のヴァイオリニストの生涯を描いた評伝。波瀾万丈の一生だったが特に第二次大戦中のベルリンに留まり在独大使館員たちとアメリカ経由で帰国する部分が興味深い。しかしそんな大文字の歴史に全く影響されていない音楽芸術との対比が本書の中心部分である。もっとジャーナリスティックに描くこともできたはず…
東京散歩 井塚章文の本棚

東京散歩

ひとことで言えば東京を描いたイラスト集。ただ作者はフランス人でたまたま6ヶ月間東京で暮らすことになり、しかし時間はたっぷりあるので東京を自転車で巡り町、家、人々を色鉛筆でスケッチした記録というユニークなものである。また作者はプロ?のイラストレイターなのだが画風はマンガぽい。マンガといっても日本のそれ…
アニメとプロパガンダ 井塚章文の本棚

アニメとプロパガンダ

タイトルから想像するほど面白い内容ではない。大学出版局から刊行された本なのだ。著者はフランスの中学教師、とはいえ完全な学術書である。内容は第二次大戦中の参戦国におけるアニメ事情。日本につてはたいした内容ではないのは調査不足なのか、実際そんなものだったのか。著者がフランス人だからかフランスがヨーロッパ…
ハウス・オブ・ヤマナカ―東洋の至宝を欧米に売った美術商 井塚章文の本棚

ハウス・オブ・ヤマナカ―東洋の至宝を欧米に売った美術商

主にアメリカで東洋美術を扱った日本の美術商の話である。しかし著者は美術史の専門家ではなさそうだ。フェルメール関係の著作はあるが(フェルメールに関しては美術分野以外の書き手による著作は多い)。とはいえ内容はしっかりしている。それはコロンビア大学で政治学の博士課程を学んだことに関係するだろう。調査手法が…
TOKYOオリンピック物語 井塚章文の本棚

TOKYOオリンピック物語

同じ著者の本は06年に96年刊の「エッシャーが僕らの夢だった」を読んで以来だった。ところがこの本のあとがきに「取材を始めたのは95年」と書かれている。想像するに「エッシャー」を書き終えて取り掛かったのがこの本だったのではないだろうか。それだけの内容だった。オリンピックの本といえば普通は選手中心になる…
大魔神の精神史 (角川oneテーマ21) 井塚章文の本棚

大魔神の精神史 (角川oneテーマ21)

新書なのだが読むのじ時間がかかった。269pだから厚めではあるが普通なら3時間以内には読める。理由は著者の薀蓄の深さだろう。映画「大魔神」シリーズは3作品。その解説に1冊まるごと使っている。神話、民俗学は当然、大映という会社に始まり脚本、監督、俳優、特撮、音楽を分析する。これは私の結論だがなぜ大魔神…
俵屋宗達 琳派の祖の真実 (平凡社新書) 井塚章文の本棚

俵屋宗達 琳派の祖の真実 (平凡社新書)

文章はいいとはいえない。しかしそれが研究者としての能力に直接関係あるともいえないだろう。ましてや美術展覧会の企画能力とは別だろう。著者は「琳派RIMPA展」の企画者であった。琳派と西洋画や現代絵画を結びつけた人である。そういう視点で書かれた俵屋宗達論である。つまり世界史の中における俵屋宗達論なのであ…
アラマタ美術誌 井塚章文の本棚

アラマタ美術誌

松岡正剛とともにルネッサンス人代表である荒俣宏の説く美術史概論。絵とはなにか装飾とはなにかいい趣味とはどういうものかというテーマで講義、論文、講演をもとにした三部構成である。アラマタだけに図版が充実していてちゃんと索引もある。具体的な内容を若干紹介しておく。ハッピーフェイス・スパイダー、美容整形、鏝…
新潮選書 手妻のはなし 失われた日本の奇術 井塚章文の本棚

新潮選書 手妻のはなし 失われた日本の奇術

手妻とは日本の伝統奇術のことである。これは手妻の全貌を紹介した本だ。奈良時代から形を変え受け継がれてきた日本の奇術は江戸時代に手妻と呼ばれ大成した。だが明治になると伝統文化が否定され絶滅に瀕した。著者は親が漫談家だったので子どもの頃から寄席等で奇術の世界に出会い存命中の師匠たちから芸を受け継いだ。手…
阿修羅のジュエリー (よりみちパン!セ シリーズ44) 井塚章文の本棚

阿修羅のジュエリー (よりみちパン!セ シリーズ44)

なんと児童書(とは言ってもこの本は評論社の「よりみちパンセ」という過激なシリーズの1冊だが)。しかも女の子向け。阿修羅展に合わせてジュエリーやアクセサリーの歴史を紹介する内容。私は荘厳と呼ばれる仏像を飾っているもの、結局はアクセサリーですがを知りたくて読んだ。阿修羅は「金色の胸飾り」に「花柄の巻きス…