総記(0類)

河北新報のいちばん長い日 井塚章文の本棚

河北新報のいちばん長い日

宮城県を中心とした東北の地方紙である河北新報の東日本大震災下における新聞報道を描いたドキュメントなのだがそれは当然ながら同時に東日本大震災そのもののドキュメントであり一気に読んだ。世間の関心は福島の原発事故に移ってしまっていて復興はいまだながら確かに地震そのものは終わったことではある。だが2万人が亡…
立花隆の書棚 中島駆の本棚

立花隆の書棚

タイトルのとおり、カラー写真と立花自身の解説によって、書棚の中身を開陳するという企画。自身の裸を晒すようで、もともとそんなに乗り気ではなかったらしいのだけど、写真家・薈田純一氏の「精密書棚撮影術」という特殊技法と、棚そのものが自身の「メイキング・オブ」であることに気づいたことで、面白くなってきたと語…
知はいかにして「再発明」されたか―アレクサンドリア図書館からインターネットまで 井塚章文の本棚

知はいかにして「再発明」されたか―アレクサンドリア図書館からインターネットまで

ロングセラーになりそうな本だ。「銃・病原菌・鉄」がそうだったように壮大な内容を洗練された文章で表現している。要は学問のシステムの歴史である。 第1章 図書館 ――紀元前3世紀~西暦5世紀 第2章 修道院 ――100年~1100年 第3章 大学 ――1100年~1500年 第4章 文字の共和国 ――1…
全貌ウィキリークス 井塚章文の本棚

全貌ウィキリークス

まだ新刊のうちに入ると思うが私が読んだ電子書籍二冊目となる本書は紙の本と同時発売ですぐに購入したから読むのに三ヶ月もかかってしまっていた、あれからいろいろあったなあという感じなのだ。当然ウィキリークスの解説本なのだが本書の特徴は第一に著者がドイツ「シュピーゲル」誌のジャーナリストだという点である。い…
グーグル秘録 井塚章文の本棚

グーグル秘録

グーグルとはなにか。それは検索エンジンの名前でもあり企業の名前でもある。まず検索エンジンとしてのグーグルは図書館と似ている。コンテンツは他人のものであり(図書館は購入しているが)それを利用する手段を提供することによって繁栄している。そこでコンテンツを作成する側からは必要悪と見られている。だが図書館や…
紙の本が亡びるとき? 井塚章文の本棚

紙の本が亡びるとき?

「書物の変」に続いて書物の行方を考えた本というタイトルでありながら「変」が芸術評論だったのに対し今回の本は文芸評論が内容である。扱っているのは太宰治から大江健三郎まで、しかし一番面白かったのは「変」と同じく滅びようとしている活字をめぐっての話だった。『群像』が活版印刷をやめるという号に掲載された(な…
書物の変―グーグルベルグの時代 井塚章文の本棚

書物の変―グーグルベルグの時代

港千尋の著作を読んだのはサントリー学芸賞受賞の「記憶」以来だとすると14年ぶりになるらしい。今回はタイトルにひかれてなのだが内容は芸術関係が多くその点ではがっかりだった。とはいえイメージを喚起する筆力はさすがである。タイトルに即した内容としては活字の復権というか今だからこそ意味するのも少部数の芸術作…
戦場からスクープ!―戦争報道に生きた三十年 井塚章文の本棚

戦場からスクープ!―戦争報道に生きた三十年

2月に刊行された本だが今年のベストワン候補ではないだろうか。アメリカのNBCニュースのテルアビブ支局長である著者の回想記である。その内容の凄いこと。世界史上の大きな紛争の現場に必ず居合わせているかのようである。最初はカメラマンだった。戦場カメラマンである。中東戦争、キプロス紛争(若い人は知らないだろ…
読んでいない本について堂々と語る方法 井塚章文の本棚

読んでいない本について堂々と語る方法

今年のベストワンだと思ったら昨年11月刊行だった。急に熱がさめてしまったが考えてみれば「読むな」と言っている本を熱心に勧めるのは著者の意図に反する行為だからそれでいいのだろう。かようにパラドックスに満ちた本なのである。私は最後まで実は読書の勧めの本だと思いながら読んだ。しかしそうでもないらしい。要は…
和本の海へ 豊饒の江戸文化 (角川選書) 井塚章文の本棚

和本の海へ 豊饒の江戸文化 (角川選書)

仕事がら江戸時代の出版物の量と種類の多さは承知している。そんな「和本」の世界を紹介した本である。ざっと目次を見てみよう。 象の解説本「霊象貢珍記」ペットとしてのネズミの飼育書「養鼠玉のかけはし」指紋占い「男女手紋三十二相」宝くじ必勝法「富札買様秘伝」着物の柄の見本帖「小紋帖」遊女評判記「姿摸嗜茂草」…
爆笑問題のニッポンの教養 検索エンジンは脳の夢を見る 連想情報学 (爆笑問題のニッポンの教養 29) 井塚章文の本棚

爆笑問題のニッポンの教養 検索エンジンは脳の夢を見る 連想情報学 (爆笑問題のニッポンの教養 29)

「爆笑問題のニッポンの教養」の1冊。不思議な本である。企画は面白い。爆笑問題の二人が最先端の研究者の仕事場を訪問して話を聞くというNHKのテレビ番組1回分で1冊の本にしている。まずは番組が面白くない。本来面白いはずの企画なのに面白くないのはNHKのせいというよりテレビがこういうものに向いていないのだ…
マイクロソフト戦記―世界標準の作られ方 (新潮新書) 井塚章文の本棚

マイクロソフト戦記―世界標準の作られ方 (新潮新書)

世界標準とはというビジネス書なのだがそれより単純にパソコンの歴史として面白かった。著者は元マイクロソフトの社員である。イギリスで育った著者は大学を出てソフトのベンチャーを起したがあえなく失敗。当時の日本は結構この分野の先頭を走っていたので日本人で英語が出来るためマイクロソフトに採用されたわけである。…
東京の暴れん坊―俺が踏みつけた映画・古本・エロ漫画 井塚章文の本棚

東京の暴れん坊―俺が踏みつけた映画・古本・エロ漫画

著者はエロ漫画の出版社の代表。出版界の裏事情その他なんでもありの雑文集というところだが「だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ」に続き書評集と理解。人名索引あり。1段組2段組3段組とここも「だれも」に似ている。しかし都築響一の作品はタイトルに反し読みたい本が多くあったのに対しこちらは正真…
だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ 井塚章文の本棚

だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ

都築響一は雑誌や新聞では読んでいたが単行本を読むのは初めて。といっても書き下ろしではないから過去に読んだことがありそうな文章もちらほら。古いところでは1993年だから忘れているが。新しいところでは2007年つまり15年分の本に関する話題を扱った文章が収録されている。いやあ植草甚一なみに面白い。実際買…
ネット君臨 井塚章文の本棚

ネット君臨

毎日新聞に連載された記事が本になった。いろいろ考えさせられる本である。私がこう書くときは図書の内容というよりそこから連想されたことをいう。内容はある意味簡単である。ネットによる個人攻撃、幼児ポルノ等から匿名性の問題。おもしろいのは提言にまで踏み込んでいる点である。ログの保存(提供)幼児ポルノの所持の…