社会科学(3類)

(株)貧困大国アメリカ 井塚章文の本棚

(株)貧困大国アメリカ

「ルポ貧困大国アメリカ」正続に続く完結編。いみじくもタイトルに㈱が付いたように企業が支配しているアメリカの現状を紹介している。こういう状態をコーポラティズムというらしい。特に槍玉に上がっているのは毎度おなじみモンサント社だが別にここだけが悪者というわけではない。1%が99%を支配するという構図が出来…
『青鞜』の冒険: 井塚章文の本棚

『青鞜』の冒険:

サブタイトルがうまく本書を表現している。著者森まゆみは伝説の雑誌『谷根千』の元編集人。それだけに『青鞜』の評価は辛辣だ。要するにお嬢さん平塚らいてうの個人の雑誌だったということか。しかし地に足の着いた『谷根千』は雑誌としての評価は高くとも社会に与えた影響という点では『青鞜』に負ける。そこはちゃんと理…
消滅した国々 井塚章文の本棚

消滅した国々

驚くべき本である。711pというぶ厚い本に紹介されているのは183ヵ国、戦後という限定でこれだけの国?が誕生し消滅したという。勿論、中には国というにはあまりにお粗末な国も多い。しかし国際政治のいい加減さに比較したら皆、それなりに理由があっての建国といっていい。なぜアフリカの混迷が続いているのか。カリ…
テレビは原発事故をどう伝えたのか 井塚章文の本棚

テレビは原発事故をどう伝えたのか

原発事故報道の検証のための本なのだが既に3年近くが経過した今でも、読むとあの日のことがまざまざと思い出される。まるで再体験しているようだ。原発事故そのものによる死者は作業員や高齢者、自殺者を合わせても9.11より、はるかに少ない。しかし国民が味わった恐怖は勝るとも劣らない。東京電力が存続している、原…
マリアトゥ・カマラ/スーザン・マクリーランド『両手を奪われても』 中島駆の本棚

マリアトゥ・カマラ/スーザン・マクリーランド『両手を奪われても』

アフリカ大陸の西海岸にシエラレオネという小国がある。農村部での平均賃金は一日一ドル、平均寿命はわずかに四十歳という最貧国のひとつだ。これほどまでに国が荒れたのは、1991年から2002年という長きに渡って激しい内乱が続いたからだ。とりわけ犠牲となったのは女性と子どもで、この本の著者であるマリアトゥ・…
シェリル・サンドバーグ『LEAN IN(リーン・イン)』 中島駆の本棚

シェリル・サンドバーグ『LEAN IN(リーン・イン)』

「子育てとは親の命を削って行うもの」というのが僕の持論である。もちろん、もとからそんな過激なことを考えていたわけではない。こんな考えが頭に浮かんだのは、たしか子どもが1歳ぐらいのとき。寝不足の頭でぼんやりとテレビを観ていたときのことだ。そこには鮭の産卵の様子が映し出された。産卵のために川を遡上してい…
人口減少社会という希望 井塚章文の本棚

人口減少社会という希望

挑戦的なタイトルだが内容はそれ以上にラディカル。地球倫理の構築を目指すそうだが反面現実社会の動向に対しては楽観的な面を見ているように感じる。面白かったのは「普遍宗教」(キリスト教のような世界宗教)とかグローバリゼーションの話。どちらも普遍的というのはある見方を肯定した場合にのみなりたつ考え方。地球倫…
人道的帝国主義 井塚章文の本棚

人道的帝国主義

刺激的なタイトルだが内容も凄い。民主主義のために他国に介入するという新たな帝国主義を批判している。圧政に苦しむ民衆を見過していいのかという普通の考えからは納得できない主張だろう。だがそうした介入が決して理想のために行なわれているのでないのはイラク戦争を見れば誰でもわかる。著者の立場は要するに国際法や…
望遠ニッポン見聞録 井塚章文の本棚

望遠ニッポン見聞録

「テルマエ・ロマエ」の作者によるコミックエッセイ。しかし私はこのヒット作の映画化作品をちらっと見ただけである。いわばほぼ知識ゼロで読んだのだが面白かった。 昨今、コミックエッセイが大流行である。実は昔から東海林さだおというコミックエッセイの名手がいて私は大好きである。この人の本はマンガもエッセイも全…
高校紛争 井塚章文の本棚

高校紛争

ジャーナリストの文章である。研究者(学者)の著作ならもっと大部なものになったろう。とはいえこれは労作である。結構長い時間を掛けて調査取材をしたと思われる。だが当事者だから言うのだが新書の制約ゆえかせっかくの資料をもっと紹介してほしかった。著者は1960年生まれいわば一世代後の生まれである。だから子ど…
英国一家、日本を食べる 井塚章文の本棚

英国一家、日本を食べる

とても楽しい本だ。よく売れてるらしく刊行3ヶ月で6刷になっている。内容は日本の食文化なのだが日本人でもなかなか行けない場所を3ヶ月の取材旅行で精力的に回っている。しかも一家4人での観光を兼ねて。つくづくイギリス人というのは旅行が上手というか旅行記を書くのがうまいと思う。日本人ではなかなかこういうバラ…
ニュートンと贋金づくり 井塚章文の本棚

ニュートンと贋金づくり

タイトルから色々想像できるが正解は造幣局監事だったニュートンが何度も逃げおおせてきた天才贋金づくりを裁判に掛け死刑にしたというもの。そう書くと「探偵ガリレオ」みたいだが実際は密偵を多様し関係者の口を割らせて訴訟に持ち込んだ鬼検事といったところだった。つまり科学史としてニュートンを描いた評伝だと思うと…
独立国家のつくりかた 井塚章文の本棚

独立国家のつくりかた

2004年に「0円ハウス」で衝撃のデビューをした著者の現状報告とでもいえる本。「0円ハウス」は卒論が原型の妹尾河童の「河童が覗いたヨーロッパ」を連想させた手書きのホームレスによる仮設住宅(矛盾だが)の紹介だったと記憶している。以降、建築しない建築家となった著者はいわば社会芸術家とでも呼べる活動を続け…
もし、日本という国がなかったら 井塚章文の本棚

もし、日本という国がなかったら

日本の戦後史と著者の自伝および交遊録という感じか。タイトルは誤解を与えそうだが要するにあるタイプの人にとっては日本は良い国なのだろう。まあ白人には特にそうかもしれない。非日本人のエッセイの特徴ではないかと思うのだが文章が口語に近い気がする。もしかすると著者が書いているように会話は簡単だが文章は難しい…
なぜ経済予測は間違えるのか?—科学で問い直す経済学 井塚章文の本棚

なぜ経済予測は間違えるのか?—科学で問い直す経済学

新古典派経済学はいかに非科学的かという内容。数学・物理学・生物学との対比で説明している。まあ訳者あとがきにあるように「常識的/良識的」な内容である。ただそれはいい意味である。津波の予想にしても原発の安全性にしても科学を利用しながらこちらは悪い意味で適当なところで安全と宣言してしまい自然にしっぺ返しを…