自然科学(4類)

炭素文明論 井塚章文の本棚

炭素文明論

タイトルはよくある未来は明るいという怪しげな本のようだが内容は有機化合物が世界史上、重要な役割を果たしてきたというもの。「銃・病原菌・鉄」を連想した 。面白かった。しかし化学式というのはさっぱりわからない。なぜ原子の数が異なると別の分子となり別の性格になってしまうのかからして文化系の人間にはなかなか…
世界が認めたニッポンの居眠り 井塚章文の本棚

世界が認めたニッポンの居眠り

タイトルと内容が合わない。日本人の特殊性(大人がマンガを読むとか)についての本を外国人が持ち上げた本だと思って読むと大間違い。世界の睡眠文化史とでも云おうか。それもかなり自然科学(この場合は医学)的な書き方で著者がオーストリア人つまりドイツ語圏の人だとこういう書き方になってしまうのかと驚いた。フラン…
立花隆『がん生と死の謎に挑む』 中島駆の本棚

立花隆『がん生と死の謎に挑む』

8月の文春文庫はラインアップが充実していると聞いて覗いてみると、たしかにどの本も面白そう。鹿島茂『渋沢栄一』上下巻、『風立ちぬ』人気にあやかった『半藤一利と宮崎駿の腰ぬけ愛国談義』、文藝春秋編の『吉村昭が伝えたかったこと』。翻訳モノではジェフリー・ディーヴァー『ポーカー・レッスン』で、こちらは文庫オ…
冥王星を殺したのは私です 井塚章文の本棚

冥王星を殺したのは私です

とても面白い本だった。第一にまるで冥王星発見史の逆がテーマのようであること。勿論そんなことはなくカイパーベルト天体(海王星軌道より遠い天体)から冥王星より大きな惑星(第10惑星として話題になったエリス)を発見してしまった科学者の話である。それが科学の進歩といえばそうなのだが実に地味な探索の結果だった…
ウイルスと地球生命 井塚章文の本棚

ウイルスと地球生命

ウィルスというのは種類も数も膨大だという話。しかしウィルスとはなんなんだというところが元々わからなかったけどますますわからなくなった。こういう書いてる方は知りすぎている(であろう)基本的な知識を一般に伝えることというのは難しい。そもそも地球生命というタイトル、これがわからない。地球外生命はわかるが単…
ウナギ大回遊の謎 井塚章文の本棚

ウナギ大回遊の謎

今年の土用の丑の日7月27日は、気温も高くウナギを食べたくなったが値段を見て敬遠するしかなかった。なぜ値上がりしたかといえば勿論、ウナギが減っているからである。昔はウナギはお客さんに出す食事だった。それが一年中、スーパーで安く買えるようになったのだから採れる量が減るのは当然だ。著者は天然ウナギをあき…
「つながり」の進化生物学 井塚章文の本棚

「つながり」の進化生物学

「言葉はなぜ生まれたのか」の岡ノ谷一夫が高校生を相手に4日間の講義を行った記録。当然ながら内容は似ている。違いは語り口。「言葉は」絵本のようないわばイメージで説明する、ものだったが今回は話し言葉で解説していくスタイル。どちらにしろ学術書の形式ではない。そこがいい面と悪い面があるだろう。なんとなくわか…
同性愛の謎 井塚章文の本棚

同性愛の謎

この人は新書が似合う。狭い範囲を浅く描くという新書の特性(欠点)がぴったりなのだ。だけど読んでしまう。タイトルや問題設定がうまい。とても読みやすい文章だ。科学エッセイでこれほど楽に読ませる人はほかにいない。例えば最近読んだ「ぼくは上陸している」(スティーヴン・ジェイ・グールド作)は上品だがちょっとし…
ぼくは上陸している 井塚章文の本棚

ぼくは上陸している

グールドのエッセイは科学者のそれ。正確であるのと、厳密であること、公平であること、しかし、それを読者に退屈させないで書ける。全体がそうなので特にどことは言えないのだが。ところでこの本のタイトルはグールドの祖父がアメリカに移民として到着したことを記念して購入した本に書いた言葉による。それから100年後…
地図をつくった男たち: 井塚章文の本棚

地図をつくった男たち:

地味な本である。業界史で一般向きとはいえない。しかし明治の役人たちの動向は面白い。今「八重の桜」を大河ドラマで進行中だが幕末から明治の人々の数奇な運命は閉塞感の漂う現代においてはある種、危険な香りがある。こちらはそんな華々しい内容ではない。ひたすら各々の役割に殉じた人々の話である。明治の役人たちの待…
万里の長城は月から見えるの? 井塚章文の本棚

万里の長城は月から見えるの?

「中国乙類図像漫遊記」以来2年ぶりに読んだ著者の本。前回は好意的に読んだらしい記録が残っていたが今回はテーマが万里の長城は月から見えるのかというトリビアネタで単行本1冊は無理だったようだ。冗長、散漫という印象である。東洋と西洋の交流史という期待をしたのだったが。しかしなんでも政治がついてくる中国とい…
海はどうしてできたのか 井塚章文の本棚

海はどうしてできたのか

「壮大なスケールの地球進化史」とサブタイトルにあるように地球の歴史46億年の中で海の誕生、変化、そして最後には消滅まで扱った本。特徴は分子レベルで海と地球、そして生物の相互作用を解説している点である。構成は地球全史を1年に見立てた「地球カレンダー」の日付による。例えば海の誕生は2月9日に当たるそうだ…
私説ミジンコ大全 井塚章文の本棚

私説ミジンコ大全

変な本です。CDがついています。水棲生物たちに捧ぐ演奏だそうです。著者坂田明はジャズプレイヤーですがむしろ田中角栄のものまねで有名かもしれません。私は演奏を生で聴いたことがないはずです。山下洋輔トリオをピットインで聴いたときはの演奏はサックス中村誠一だったはずです。しかしこの本はジャズの本ではありま…
これが見納め 井塚章文の本棚

これが見納め

「銀河ヒッチハイク・ガイド」のダグラス・アダムスが書いたルポルタージュ。絶滅危惧動物の野生の姿を見に行くというラジオ番組から生まれた本。そもそも「銀河」も同じBBCの番組だった。しかしラジオ?と思う。どうやら動物そのものよりもそんな動物が生息している場所にたどりつけるかどうかという不思議な企画だった…
宇宙誕生 原初の光を探して (筑摩選書) 井塚章文の本棚

宇宙誕生 原初の光を探して (筑摩選書)

「僕らは星のかけら」を読んだのは11年前だったようだ。著者マーカス・チャウンによる93年のデビュー作を改訂して2010年に刊行された本書はいわば「僕ら」の前編に当たる。「宇宙誕生の証、ビッグバンの残光を発見した」歴史を扱っている。面白いのは予測されたそれを複数のグループが長い間追い続けていながら見つ…