井塚章文の本棚 19 5月 2013 河北新報のいちばん長い日 宮城県を中心とした東北の地方紙である河北新報の東日本大震災下における新聞報道を描いたドキュメントなのだがそれは当然ながら同時に東日本大震災そのもののドキュメントであり一気に読んだ。世間の関心は福島の原発事故に移ってしまっていて復興はいまだながら確かに地震そのものは終わったことではある。だが2万人が亡… 続きを読む
井塚章文の本棚 19 5月 2013 屍者の帝国 驚くべき本である。近年読んだ本で匹敵するのは「ピストルズ」だろうか。結局はハードSFなんだろうなあ。ハードSFって昔はあったけど今でもあるんだって思った。19世紀末が舞台のゴシックロマンからジュールベルヌ風冒険活劇、それでいて思弁小説、パロディ、オマージュだらけ。日本SF大賞作家伊藤計劃のプロローグ… 続きを読む
井塚章文の本棚 12 5月 2013 ビアンカ・オーバースタディ 2008年の「ダンシング・ヴァニティ」以来の筒井康隆作品。それなのにとても似た雰囲気。もっと飛んでいるが。80歳近い長老の作品なのにデビュー当時のジュニヴェール作品。とはいえいまどきなのでライトノベルと称している。基本タイムトラベル(時をかける少女とはあまりに違うが)、それに巨大生物の戦闘がからむ。… 続きを読む
井塚章文の本棚 12 5月 2013 小暮写眞館 けっこう古い本になってしまった。タイトルは写真館だし実際、舞台は、元写真館なのだが、なぜか映画館のような印象がある。というのは昔三本立という映画興行の形式があったがこの本はさらに豪華に四本立てのような構成なのだ。それぞれてテーマは違う。最初の作品は素直に写真館をめぐるミステリー。二作目は恋愛映画。日… 続きを読む
未分類 3 5月 2013 この世の涯てまで、よろしく こういうタイプの小説はあまり日本にはないように思う。「文学刑事サーズデイ・ネクスト」シリーズに似ている。死んだピアニスト二人が召喚されて音楽学校で起こる殺人事件に遭遇する。殺人鬼はやはり死んだ作曲家。第2次世界大戦から戦後史が背景にある。なにが日本と違うのだろう。芸術に対する態度が違うように思える。… 続きを読む
井塚章文の本棚 3 5月 2013 三種の神器 「三種の神器」といえば、かってはテレビ、冷蔵庫、洗濯機で、「新・三種の神器」は車、クーラー、カラーテレビだった。それが今や誰もが持てるものとなって誰もが欲しがるものではなくなった。この6種類が私の育った家に登場したのは(三種の神器は鮮明な、そして新・三種の神器はやや不鮮明な記憶だが)ほぼ黄金の60年… 続きを読む