月別: 2013年6月

地図をつくった男たち: 井塚章文の本棚

地図をつくった男たち:

地味な本である。業界史で一般向きとはいえない。しかし明治の役人たちの動向は面白い。今「八重の桜」を大河ドラマで進行中だが幕末から明治の人々の数奇な運命は閉塞感の漂う現代においてはある種、危険な香りがある。こちらはそんな華々しい内容ではない。ひたすら各々の役割に殉じた人々の話である。明治の役人たちの待…
万里の長城は月から見えるの? 井塚章文の本棚

万里の長城は月から見えるの?

「中国乙類図像漫遊記」以来2年ぶりに読んだ著者の本。前回は好意的に読んだらしい記録が残っていたが今回はテーマが万里の長城は月から見えるのかというトリビアネタで単行本1冊は無理だったようだ。冗長、散漫という印象である。東洋と西洋の交流史という期待をしたのだったが。しかしなんでも政治がついてくる中国とい…
海はどうしてできたのか 井塚章文の本棚

海はどうしてできたのか

「壮大なスケールの地球進化史」とサブタイトルにあるように地球の歴史46億年の中で海の誕生、変化、そして最後には消滅まで扱った本。特徴は分子レベルで海と地球、そして生物の相互作用を解説している点である。構成は地球全史を1年に見立てた「地球カレンダー」の日付による。例えば海の誕生は2月9日に当たるそうだ…
夜明け遠き街よ 井塚章文の本棚

夜明け遠き街よ

ベテラン、ハードボイルド作家によるバブル期の札幌ススキノを舞台にしたキャバレー勤務の黒服を主人公にした連作。似たような作家に矢作俊彦がいるがこちらの作品はハードボイルドといっても金銭が絡む事件で殺人事件は最後の表題作のみ。面白かった。どうして最近の作家はこういうクールな作品を書こうとしないのだろう。…
PK 井塚章文の本棚

PK

6年ぶりの伊坂幸太郎作品。あいかわらずよくわからない作品。ファンには理解できるのだろうか。しかし今まで読んだ伊坂幸太郎作品の中では一番普通の作品だった。長篇が多い彼の作品にはめずらしく連作。しかし相互に関係がありそうでなさそうなところはやはり著者独自の世界。「PK」「超人」「密使」。初めて彼の本を読…
聖地鉄道 井塚章文の本棚

聖地鉄道

寺社への参拝目的の鉄道を集めた本。確かにありますね。新書らしい企画。本の出来としてはたいしたことはないのだが企画が良かった。だいたい鉄道って意外と安易な理由から作られている。かくゆう私の利用している線は2002年のサッカーワールドカップのために作られたとしか思えない。それにしても聖地ものが偶然続いて…
日本の聖なる石を訪ねて 井塚章文の本棚

日本の聖なる石を訪ねて

流行の聖地巡礼の本。普通は神社ということになるのだがこの場合は信仰の対象になるような石のことである。巨石、奇岩の類である。範囲をどうするかという問題もありなかなか難しい。しかし石に対する信仰があるのはまた確かなことである。最初に宗教学者の鎌田東二氏との対談があって導入になっている。構成はカラー口絵、…
私説ミジンコ大全 井塚章文の本棚

私説ミジンコ大全

変な本です。CDがついています。水棲生物たちに捧ぐ演奏だそうです。著者坂田明はジャズプレイヤーですがむしろ田中角栄のものまねで有名かもしれません。私は演奏を生で聴いたことがないはずです。山下洋輔トリオをピットインで聴いたときはの演奏はサックス中村誠一だったはずです。しかしこの本はジャズの本ではありま…
読めない遺言書 井塚章文の本棚

読めない遺言書

当たり前だが本の紹介文はいかにこの本が傑作であるか宣伝している。しかし面白かったが私としてはかなり疑問の多い作品だと思った。まあ教師が主人公というところで好きになれなかっただけかもしれないが。面白かったのに残念でした。それにしてもタイトルの遺言状は何を意味しているのだろう。ライオンズ大全のことか。公…
日本語は「空気」が決める 井塚章文の本棚

日本語は「空気」が決める

タイトルのつけかたは以前から言っているが新書にたまにある疑問のあるもの。サブタイトルのままでよかった。というかこの本は岩波新書で出すべきもの。新書には新しい話題を紹介するものとある分野の入門書になっているものが多いと思うが、この本はまさに後者。教科書のような本である。勿論、例示にアニメ作品を使ったり…
あなたが愛した記憶 井塚章文の本棚

あなたが愛した記憶

面白かった。ただ傑作とまではいかないか。ホラーサスペンスで「リング」と「パラサイト・イヴ」の中間くらいの設定か。登場人物が多く?よく描き分けられているが最後までそれが持続できてはいない。連続殺人犯の正体がわかるところまではよいのだがそこからもうひとつ展開があれば「リング」に匹敵したかもしれない。…
天皇とマッカーサーのどちらが偉い? 井塚章文の本棚

天皇とマッカーサーのどちらが偉い?

著者をご存知だろうか。若い人は知らないかも知れない。どう紹介すればいいのか悩む。1946年生まれのアメリカ在住の著述家としておこう。内容は日米関係を中心とした戦後史だろう。ただいわゆる正史ではない。個人史なのだが文化史的にとても面白かった。というのは著者の経歴が戦後史上の事件に深く、または浅く関わっ…
これが見納め 井塚章文の本棚

これが見納め

「銀河ヒッチハイク・ガイド」のダグラス・アダムスが書いたルポルタージュ。絶滅危惧動物の野生の姿を見に行くというラジオ番組から生まれた本。そもそも「銀河」も同じBBCの番組だった。しかしラジオ?と思う。どうやら動物そのものよりもそんな動物が生息している場所にたどりつけるかどうかという不思議な企画だった…