未分類 18 8月 2013 ミドリさんとカラクリ屋敷 第八回開高健ノンフィクション賞次点作品はまさに著者のデビュー作。高校時代に偶然見つけた近所の不思議な家に通い家主のルーツまで追った記録。魅力的な家主のキャラクターそして不思議な家に秘められた100年の歴史。家主は97歳のミドリさん。まるで民族が違うような思考回路を持つミドリさんだが案外、この世代には… 続きを読む
井塚章文の本棚 17 8月 2013 百鬼園百物語 泉鏡花の「おばけずき」に続く文豪小品シリーズ第2弾。まるで「聊斎志異」を読んでいるよう。どこまでが現実でどこからが夢のなかなのか。大正から昭和にかけて書かれたこれらの作品が妙に時代を超越して迫ってくる。基本的には大正モダンもしくは大正ロマンというべきなのだろうか。収録作の「四君子」では筒井康隆並みに… 続きを読む
井塚章文の本棚 17 8月 2013 同性愛の謎 この人は新書が似合う。狭い範囲を浅く描くという新書の特性(欠点)がぴったりなのだ。だけど読んでしまう。タイトルや問題設定がうまい。とても読みやすい文章だ。科学エッセイでこれほど楽に読ませる人はほかにいない。例えば最近読んだ「ぼくは上陸している」(スティーヴン・ジェイ・グールド作)は上品だがちょっとし… 続きを読む
井塚章文の本棚 16 8月 2013 ニュートンと贋金づくり タイトルから色々想像できるが正解は造幣局監事だったニュートンが何度も逃げおおせてきた天才贋金づくりを裁判に掛け死刑にしたというもの。そう書くと「探偵ガリレオ」みたいだが実際は密偵を多様し関係者の口を割らせて訴訟に持ち込んだ鬼検事といったところだった。つまり科学史としてニュートンを描いた評伝だと思うと… 続きを読む
井塚章文の本棚 16 8月 2013 世間遺産放浪記 俗世間篇 庶民の土木や建築の仕事を記録する写真集。文章がいい。とてもゆるい本だが内容が内容なので合っている。著者は鏝絵の写真集を発表していてこの本にも幾つも出てくる。芸術の範疇に入らない職人仕事だが立派に装飾美術である。既に消滅したもの、ほとんど朽ち果てているものも多く世間遺産として保存を考えてほしいものもあ… 続きを読む
井塚章文の本棚 11 8月 2013 幻坂 大阪の「天王寺七坂」という地域が舞台のホラー短篇集。最初の「清水坂」はまあ普通の出来と思っていたら地霊のなせる技かだんだん物語世界に引きこまれてしまった。私は大さくには二度しか行った記憶がない。京都なら何十回はおおげさにしても2ケタ以上行ったはっきりした記憶がある。ところが読んでいてだんだんなつかし… 続きを読む
井塚章文の本棚 11 8月 2013 眺望絶佳 中島京子作品は3冊目になる。今回は短編集といっていいだろう。ただ最初と最後にスカイツリーと東京タワーの往復書簡を置く構成で風俗連作といっていいのではと思う。3.11や9.11への言及もある。ちょっと川上弘美に似ていると思ったが川上には風俗は似合わない。しかし現代小説はやはり現代を描かないといけないだ… 続きを読む
井塚章文の本棚 4 8月 2013 独立国家のつくりかた 2004年に「0円ハウス」で衝撃のデビューをした著者の現状報告とでもいえる本。「0円ハウス」は卒論が原型の妹尾河童の「河童が覗いたヨーロッパ」を連想させた手書きのホームレスによる仮設住宅(矛盾だが)の紹介だったと記憶している。以降、建築しない建築家となった著者はいわば社会芸術家とでも呼べる活動を続け… 続きを読む
井塚章文の本棚 4 8月 2013 ぼくは上陸している グールドのエッセイは科学者のそれ。正確であるのと、厳密であること、公平であること、しかし、それを読者に退屈させないで書ける。全体がそうなので特にどことは言えないのだが。ところでこの本のタイトルはグールドの祖父がアメリカに移民として到着したことを記念して購入した本に書いた言葉による。それから100年後… 続きを読む