月別: 2013年9月

望遠ニッポン見聞録 井塚章文の本棚

望遠ニッポン見聞録

「テルマエ・ロマエ」の作者によるコミックエッセイ。しかし私はこのヒット作の映画化作品をちらっと見ただけである。いわばほぼ知識ゼロで読んだのだが面白かった。 昨今、コミックエッセイが大流行である。実は昔から東海林さだおというコミックエッセイの名手がいて私は大好きである。この人の本はマンガもエッセイも全…
笑い三年、泣き三月。 井塚章文の本棚

笑い三年、泣き三月。

「茗荷谷の猫」に続いての木内昇作品だが読後感は全く違う。なにより話のテンポの違いに戸惑った。だが読み終えて思うのだがこれはコント55号を小説にしたような作品だったのではないだろうかというものだった。主人公は誰だったのだろうか。岡部善造は最初のページに登場するのだから主人公だろうか。その善人ぶりは小説…
ことり 井塚章文の本棚

ことり

いつのまにか、小川洋子作品も5冊目となった。普通、これだけ読むと結構、強く作家の印象が記憶されるのだが、この人の印象は、あまり強くない。そういう作風なのだろう。「ことり」は岡ノ谷一夫への謝辞もあって「博士の愛した数式」の言語学版かと思って読んでいたが読後に感じたのは橋本治の「巡礼」と似たものだった。…
高校紛争 井塚章文の本棚

高校紛争

ジャーナリストの文章である。研究者(学者)の著作ならもっと大部なものになったろう。とはいえこれは労作である。結構長い時間を掛けて調査取材をしたと思われる。だが当事者だから言うのだが新書の制約ゆえかせっかくの資料をもっと紹介してほしかった。著者は1960年生まれいわば一世代後の生まれである。だから子ど…
諏訪根自子 井塚章文の本棚

諏訪根自子

面白かった。昭和のヴァイオリニストの生涯を描いた評伝。波瀾万丈の一生だったが特に第二次大戦中のベルリンに留まり在独大使館員たちとアメリカ経由で帰国する部分が興味深い。しかしそんな大文字の歴史に全く影響されていない音楽芸術との対比が本書の中心部分である。もっとジャーナリスティックに描くこともできたはず…
オオカミの護符 井塚章文の本棚

オオカミの護符

同名の映画の製作者が書いたオオカミ信仰のルポルタージュ。こう書くととんでもない田舎が舞台のように思ってしまうが実は舞台は作者の地元神奈川県川崎市でオオカミ信仰は今も健在なのだ。種明かしをすると東京奥多摩御岳山の武蔵御嶽神社の御嶽講のことである。そういう意味で同じ神奈川県の住宅から日本の近代の庶民のた…
英国一家、日本を食べる 井塚章文の本棚

英国一家、日本を食べる

とても楽しい本だ。よく売れてるらしく刊行3ヶ月で6刷になっている。内容は日本の食文化なのだが日本人でもなかなか行けない場所を3ヶ月の取材旅行で精力的に回っている。しかも一家4人での観光を兼ねて。つくづくイギリス人というのは旅行が上手というか旅行記を書くのがうまいと思う。日本人ではなかなかこういうバラ…
黒と白 井塚章文の本棚

黒と白

ムーミンの作家トーベ・ヤンソンの短篇小説集。画家でもある作者の短篇はどことなく絵画を思わせる。それもムンクの作品を。ムンクとムーミンを連想する人はあまりいないだろうが北欧の憂鬱は日本人から見れば近いものを感じる。同じ文庫の前作「トーベ・ヤンソン短篇集」は明るく楽しい作品を編んだものらしくこちらはいわ…
青い花 井塚章文の本棚

青い花

なぜか震災と戦争が起きて避難民となりながら避難所を出てドラッグを求めて彷徨う主人公の話で途中に会話もあるがほぼ独白が延々続く作品。最近読んだ小説で小説ともエッセイとも詩とも言えそうな文体で書かれている作品が幾つかあった。例えば「黄金の夢の歌」がそうだった。また理由とか不明でいきなり国内が戦場となって…
ペンギン・ハイウェイ 井塚章文の本棚

ペンギン・ハイウェイ

3年前の日本SF大賞受賞作であるが正統的な少年小説つまり少年の成長を描いた作品だと思う。ただそれは主人公の側から見た話であって「お姉さん」はメアリー・ポピンズを魅力的な若い女性にしたようでひっとしたら少年を好きになってしまうという近頃ありがちな存在かもしれないのだった。…