月別: 2014年1月

血盟団事件 井塚章文の本棚

血盟団事件

「血盟団事件」という言葉は知っていても詳細は知らなかった。とはいえ驚くような事実が書かれているわけではない。テロである。軍部によるそれでも個人によるそれでもない。民間団体によるテロ事件である。日蓮主義者といわれてきたが実際はもっと素朴なものだった。強いていえば弱者によるユートピア願望(世界と個人の一…
流星ひとつ 井塚章文の本棚

流星ひとつ

藤圭子のアルバムを聞きながら書いている。本書は沢木耕太郎が藤圭子に「インタヴュー」(というタイトルで出版するつもりでいた)した、すべて会話という作品。これが凄い。こんなこと答えていいのかというほどの内容。沢木耕太郎は初期の作品ぐらいしか読んでいなかったが「一瞬の夏」を思い出してしまったが実はこの2作…
ヨハネスブルグの天使たち 井塚章文の本棚

ヨハネスブルグの天使たち

読み終えて思ったのはJ・G・バラードと似ているだった。落下を続ける日本製のホビーロボット・DX9が登場する連作集。話は別々だが雰囲気は共通している。国家・民族・宗教・戦争・言語の意味を問い直すという今の時代とこの雰囲気が合っている。しかし直木賞候補作ということだがこの表現しようのない雰囲気で直木賞は…
日本を捨てた男たち 井塚章文の本棚

日本を捨てた男たち

第9回(2011年)開高健ノンフィクション賞受賞作。フィリピーナのために移住した男たちは貧困生活をおくっていた。しかし大使館は援助しない。彼らを援助しているのはフィリピンの貧しい人たちだった。著者はそれをクリスチャンの隣人愛によるものとしている。私は貧しいほど助けあいの気持ちが生まれるせいだと思うが…
平成猿蟹合戦図 井塚章文の本棚

平成猿蟹合戦図

「悪人」に続いての吉田修一作品。読み始めときは「悪人」と同じような作品かと思ったらだいぶ違っていた。ハードボイルドとユーモア小説という全く違うイメージのジャンルに属する作品だったようだ。しかし人物描写が丁寧な割にストーリーはかなり無理がある。これでストーリーも緻密なものになっていたら丸谷才一作品に匹…
テレビは原発事故をどう伝えたのか 井塚章文の本棚

テレビは原発事故をどう伝えたのか

原発事故報道の検証のための本なのだが既に3年近くが経過した今でも、読むとあの日のことがまざまざと思い出される。まるで再体験しているようだ。原発事故そのものによる死者は作業員や高齢者、自殺者を合わせても9.11より、はるかに少ない。しかし国民が味わった恐怖は勝るとも劣らない。東京電力が存続している、原…