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危ない精神分析―マインドハッカーたちの詐術

実は最近改訂版が出ている。「怪しいPTSD」(中公文庫)である。コチラの方が内容に合ったタイトルである。PTSD(心的外傷後ストレス障害)だといわれ原因は幼児期の性的虐待だったということで親を告訴する事件がアメリカで盛んになった。これは記憶回復療法というカウンセリングの手法に問題があったのだそうだ。著者も同業者なのだがこちらは解決志向セラピーという原因追求はせず現状の改善を追求するという立場である。だからそもそも精神分析に問題があるということで旧タイトルになったようだ。さてPTSDとはもともとベトナム戦争や災害で大きな精神的ダメージを負った人々がかかる障害だったはずである。それがいつの間にか幼児期の性的虐待の後遺症ということになってしまった。記憶回復療法をリードした医者のせいらしい。不調を訴える患者に対し記憶を隠蔽していることが原因だとしてグループセラピー等によって記憶の捏造が行われる。それが幼児期の性的虐待だとするわけである。ただ奇妙なことにこの患者たちは豊かで高学歴の白人家庭に育ったという傾向が見られるそうである。つまりないものねだりの果てが親の告訴となってしまったのだった。著者は精神分析がそもそも問題だというが私は今や自称カウンセラー、セラピストが問題だと思う。一見無害なあなたはあなたのままでいい風も含め。日本の流行はアメリカの後追いであることは本を読んでいるとよくわかる。たまたま日本で記憶回復療法が親の告訴という流れにならなかったのは著者にいわせると父親不在の日本では性的虐待という連想が起こりそうな親密な家庭が少ないという皮肉な理由等が考えられるという。かようにアメリカと日本は違う。アメリカの性的虐待の内容が黒ミサの餌食だと被害者がいい世間もそれを納得するなぞは日本では考えられない。だが昨今のうつ病ブームや昔からだが成功法の本の流行を見ていると新興宗教が姿形を変えながら連綿と続くようにアメリカ発のセラピー、ヒーラーたちの流行に日本もどっぷりつかっているように思えるのだ。