すべての好奇心をレビューする――「ホンスミ!」

戦場からスクープ!―戦争報道に生きた三十年

2月に刊行された本だが今年のベストワン候補ではないだろうか。アメリカのNBCニュースのテルアビブ支局長である著者の回想記である。その内容の凄いこと。世界史上の大きな紛争の現場に必ず居合わせているかのようである。最初はカメラマンだった。戦場カメラマンである。中東戦争、キプロス紛争(若い人は知らないだろうな)イラン革命、アフガン戦争(ソ連との)ソマリア内戦(海賊の起源)ルワンダの民族紛争、コソボ紛争と取材する。しかしなんといってもパレスチナ紛争取材が凄い。自身がホロコーストの生存者の両親を持つユダヤ人(イギリス生まれ)でイスラエル人と結婚し家庭を持っていながらパレスチナ側を取材し両者の立場を共に理解している稀有な存在である。その生涯は生命の危機の連続だった。例えば地雷原に入ってしまった車に乗り合わせた取材陣は一人が車外に出て地雷を踏みそれを助けようと続いて二人がまた地雷を踏むそれをカメラに収めた著者、またコソボでは虐殺の被害者の埋葬された場所を見つけ虐殺の時間を表示した腕時計を拾うシーンの撮影を行うのだがこのような人が手を出しそうなものには爆弾や地雷を仕掛けられている危険がある。要するに生きていられたのは運が良かっただけだという著者のそれでも戦場からの報告を世界に伝えようとする重い使命感、これぞノンフィクションである。