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ん―日本語最後の謎に挑む (新潮新書)

いい本だ。新潮選書向きの充実した内容だが「ん」というタイトルといいテーマといい新書で行こうとの判断なのだろう。「ん」とはなにか母音を伴わない発音そして文字である。日本語(大和言葉)には「ん」はなかったのだが中国語には多数ありそれを表記するために我々の先祖は苦労したらしい。また矛盾するようだが「ん」と表記する発音は3種類あり、しばしば濁音、半濁音、拗音、促音と結びつく。つまり古代の和歌ではまず出現しない「ん」は口語、外来語の世界では大活躍なのだ。そんな「ん」の研究を僧侶や国学者がしていたそうだ。空海、明覚、本居宣長らである。いまやなくてはならない「ん」だが井原西鶴の時代は「ん」と発音しても表記はしなかったそうだ。なにや国語変遷史がみぢかになった気がする。