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俵屋宗達 琳派の祖の真実 (平凡社新書)

文章はいいとはいえない。しかしそれが研究者としての能力に直接関係あるともいえないだろう。ましてや美術展覧会の企画能力とは別だろう。著者は「琳派RIMPA展」の企画者であった。琳派と西洋画や現代絵画を結びつけた人である。そういう視点で書かれた俵屋宗達論である。つまり世界史の中における俵屋宗達論なのである。そもそも琳派というのは祖である俵屋宗達の与り知らぬところでできた系譜である。師弟関係はない。
俵屋宗達は天才だった。決して「風神雷神図屏風」だけではない。そしてクリムトやマチスとの比較で彼の先駆性や意味が理解できると著者は書き読者はそうであろうなと思うのだ。洋画だけではない。近代日本画やはてはマンガまで彼の影響は及ぶ。最後には宗達を見るとジャズが聞こえるとまでいう。著者の才能も宗達に似ているのかもしれない。才能がありビジュアルな表現は優れているがそれを理論化する才能、ここでは文章力はついてこないのか。だが著作者としての才能は今後を期待しよう。宗達ではなく同時代の才能なのだから。