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場所と産霊 近代日本思想史

前提となる知識を持たずとも面白い論考というものもある。この本がそうだ。例えばプラグマティズム、著者の書いているそれと私の乏しい知識が一致しない。著者と同じだけの知識があるなら普通は読む必要がなくなる。たまにそれでも面白い本つまり知識ではなく考え方を読ませる本が存在する。そしてこの場合は読む側に前提となる知識が欠如しても面白い、但し考え方を楽しむ限りにであって考えた結果を評価しようとするならやっぱり知識は必要なので場合によってはそこから新しい読書が始まるわけである。
二部と補遺という構成である。第一部はサブタイトルからは想像もつかない内容だ。世界文学が相互に与えた影響を論じている。但し鈴木大拙と南方熊楠の名前は現れる。第二部ではこの二人とともに西田幾太郎、折口信夫が論じられる。前者が場所、後者が産霊というわけである。総じて日本のオリジナルな思想とされるものが世界の影響下にあるという話なのだが最初に書いたように例えばアメリカ思想が世界の思想界に与えた影響の重大さ等の指摘が面白かったのだが名前を上げた人たちに関する情報は名前は知っているレベルなので実際のところどうだったのかは判断がつかない。ただ南方熊楠の偉大さはなんとなくわかった気がする。