すべての好奇心をレビューする――「ホンスミ!」

紀元二千六百年 消費と観光のナショナリズム (朝日選書)

かねてより昔の本を見る機会があって紀元二千六百年には関心があった。エポックメイキングな年だったとは想像できるが実際はどうだったのか。本書は政府主導のこの行事をむしろ周辺の反応を見ることににり全体像を描く方法をとっている。結果政府の動向という点ではいささか期待はずれではあった。しかし観光や新聞、デパートの便乗という教科書的ではない部分はよく理解できたように思える。また海外移民たちが置かれた状況も紹介されておりこの太平洋戦争前夜が、ある意味平和な社会だったことがわかる。それにしてもこの年が西暦で1940年だったことに衝撃を覚えた。今年が2011年私の年齢から考えれば生まれた1952年のほんの一昔前である。江戸は明治に繋がり戦後は戦前に繋がっていると認識しているが今世紀の半ば2050年は私が生きている可能性はあまりないが(そうは言ってもこればかりはわからない、なにしろ長寿の家系なのだ)どんな状況になっているのだろう。革命前夜か核戦争のあとなのか。世紀という単位ではいかに人の生活の平穏はむなしいか。だが1940年の日本は観光ブームだったのだ。ただそれが神武天皇ゆかりの聖蹟巡り等だっただけである。なおとても翻訳書とは思えない濃い内容なのだが日本語としてはあまり読みやすいとはいえない。意味の繋がりを理解するのにとまどうことがあった。