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ハウス・オブ・ヤマナカ―東洋の至宝を欧米に売った美術商

主にアメリカで東洋美術を扱った日本の美術商の話である。しかし著者は美術史の専門家ではなさそうだ。フェルメール関係の著作はあるが(フェルメールに関しては美術分野以外の書き手による著作は多い)。とはいえ内容はしっかりしている。それはコロンビア大学で政治学の博士課程を学んだことに関係するだろう。調査手法が政治史研究のそれによっていると思われる。なぜそのような調査が必要だったかといえば太平洋戦争によりアメリカの山中商会(ハウス・オブ・ヤマナカ)はアメリカ政府により閉鎖されたからだ。ニューヨーク五番街に立派な店舗を持った山中商店はいまでいえば銀座の日動画廊というより流行のセレブ向きということならカルティエのような存在だったか。この店の入っていたビルのオーナーはロックフェラーだった。またロックフェラーは店の客でもあり購入する美術品の価格交渉で駆け引きしている手紙なぞ金額は違うが夜店で値切る客のようで面白かった。このような内容の本が私が読んだ本で3刷だったことは何度も書いているが出版社が新潮社であったことやおそらく初刷部数はあまり多くなかった(例えば1万部)と想像できるのだが日本の読者層のレベルが高い証拠に思えるのだった。