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空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む

第8回開高健ノンフィクション賞受賞作である。ほとんどの人は聞いたことがないであろうチベットの奥地にツアンポー峡谷とよばれる世界最大の峡谷があるそうだ。そこの単独行のはなしである。確かに8km程度の川筋が未踏(川の場合なんというのか)だとしてそれがどうしたというのだろう。山の初登頂とは違いあまり評判にならなそうだ。だがそれでもこの本は面白かった。文章がいい。また自分の話だけではなくちゃんと調査、取材をしてこの本はできている。つまり有名になった冒険家の報告ではなく冒険家かつ作家の作品なのだ。では作品としての魅力はなんだろう。中国しかも問題になっているチベットである。許可をとらずヒマラヤの国境地帯を流れる国際河川をたどるとどうなるか。私は「八甲田山死の彷徨」を思い出した。冒険の意味は命の限界に挑戦することらしい。そこでしか見えないものがあるらしい。