すべての好奇心をレビューする――「ホンスミ!」

立花隆の書棚


タイトルのとおり、カラー写真と立花自身の解説によって、書棚の中身を開陳するという企画。自身の裸を晒すようで、もともとそんなに乗り気ではなかったらしいのだけど、写真家・薈田純一氏の「精密書棚撮影術」という特殊技法と、棚そのものが自身の「メイキング・オブ」であることに気づいたことで、面白くなってきたと語っている。裸を晒すよりも好奇心が勝ったというところが、いかにも立花隆らしい。

長年の読者としては、もちろん嬉しい企画である。立花の仕事場「ネコビル」の存在は、読書家にとっては理想像。地上三階、地下二階、さらには屋上にまでびっしりの本。一部屋を書斎にすることすら難しい市井の読書家にとっては、桃源郷のような場所である(もちろん、維持管理にかかる費用はたいへんなのものだろうけども)。その場所を紙面とはいえ再現してくれるわけだから、こんなに嬉しいことはない。よくぞやってくれた。

「メイキング・オブ」ということはつまり過去の著作への言及となるわけで、なるほど、あの本はこんな資料や本から生まれたのかと思うとなかなかに感慨深い。だがそれよりも、気になるのは「新作」のほうで、立花によればあと10冊分ぐらいのネタはあるのだそうだ。言われてみれば中途で終わってしまっているものもあるので(武満徹のものとか「脳を鍛える」シリーズなど)、この書棚から生まれるであろう次作への期待が膨らむばかりである。御年73歳なので、どれだけ書けるかは本人にもわからないところではあるだろうけど、少なくとも本書でかなりページを割いている「インディオの聖像」については、近い将来、一冊にまとめてくれるのではなかろうか。待ってます、立花さん。