すべての好奇心をレビューする――「ホンスミ!」

都市と都市

刑事物のミステリーをこれで3冊続けて読んだことになる。それぞれ全く異なる舞台だ。なにしろアイスランドと日本橋と、今回のは架空の世界である。SFだから当然なのだがなんだか似ている。要するに刑事物というのは誰が書いても足で犯人を追う話になってしまうのかもしれない。

ヒューゴー賞、世界幻想文学大賞、ローカス賞ほかの受賞作。ただ最近はこういう複数の著名な賞が同一の作品に授与されることが多いように感じている。そんな「都市と都市」はずばりヨーロッパの民族紛争国が舞台のようなSF。こういう作品はアメリカの作家には無理かもしれない。著者はイギリス人でなぜか名前がチャイナ・ミエヴィル(名は中国だし姓はどこの国のだろう)。ベジェルウル・コーマという2つの都市は別々の国に属しながら重なりあって存在している。とはいっても別の次元に属するとかいうようなSFではない。もっとリアルなのだ。殺人事件を追うベジェル警察の刑事が捜査のためにウル・コーマを訪れる。2国間を侵犯する行為はブリーチといわれ逮捕されるのだが。正直、面白かったとは言えないのだが「国民国家」という日本人には理解し難い概念はヨーロッパの歴史を見るとむしろ特異なものに思えてしまった。