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赤猫異聞

1年半ぶりの浅田次郎作品。とんでもなストーリーはあいかわらず。舞台は明治元年。小伝馬町牢屋敷は火事があると囚人を解き放つ習慣があった。鎮火後に戻れば減刑。しかし、いわく付きの三人は全員戻ったら無罪だが一人でも戻らなかったら戻った者も死罪という妙な取り決めがなされた。三人にはそれぞれ殺したい相手がいる。彼ら三人が主人公ではない。主人公は別にいる。物語は、その主人公以外の関係者の八年後の証言をそれぞれ1章として構成されている。久しぶりの浅田節(牢屋敷が舞台なので「天切り松闇がたり」のような作品を期待したのだが)と思ったが、どうも最近の浅田次郎作品は読み終えると期待したほどではなかったなあと思ってしまう。それほど初期作品は面白かったのだ。ウィキペディアを見たら旧士族の家の出だそうだ。どうりで徳川方に好感を持っているわけだ。敗者の側ともいえる。まあ日本橋の上に高速道路を通すような近代には私も反感を持つ。