すべての好奇心をレビューする――「ホンスミ!」

都電跡を歩く

かっての我が家、つまり実家は電車通りに面していた。都電の通っていた道をこう呼ぶのだ。だから今、実家に出かけると通行量の割りにはいやに幅広い道であることに気づく。今は勿論、都バスが代わりに走っている。かって走っていたのは22系統といった。ヘッドマークに22とあった。部屋にはそのヘッドマークをつけた都電の模型がある。「ALWAYS続・三丁目の夕日」のプルバックミニカー都電6000形旧塗装である。そんな22系統も1章割いている。昭和25年の調査では全系統で最高の輸送人員だったそうだ。
さて本書は都電のオタク本ではない。著者はどちらかというと行政分野のライターで、この本も交通政策から見た都電の変遷といった内容である。結果、現在と過去の繁華街とそれに対する交通網の影響といったやや堅苦しい主題とまとめられる。それはそうなのだが私にとってはなつかしい地名を発見した喜びがまさった。例えば万世橋、須田町といった秋葉原と神田の間の地名。通三丁目といえば中央通りから東京駅へ曲がる角。かって新宿発の都電は角筈から出ていたように記憶している。網の目といえば聞こえはいいがどこを走っているのかわからない(景色が見えない)東京の地下鉄の乗り換えの不便さ、そこいくと都電は便利だった。角を曲がれば乗り換える路線の電停(と呼んでいたのだが路面電車の駅のことと本書にあった)がちゃんとあった。 知らない街でも線路を見れば都電が走っていることがわかり、それに乗って必要なら乗換えれば、大概の所に行けた。