すべての好奇心をレビューする――「ホンスミ!」

ヤマネコ・ドーム

津島佑子の最新作である。今回は混血孤児たちの戦後史がテーマ。津島作品には毎度感心させられる。同じ作家とは思えないほど第一印象は異なる。それなのにやっぱり津島作品だと安心できる部分がある。永遠の少年がそうなのだがしかし今回作品では少年は歳をとる。登場人物は多い。孤児たちのホーム、主人公のミッチとカズを引き取る養母。その親戚でもうひとりの主人公であるヨン子の家族。ホームの子どもたちはしばしばミッチの家やヨン子の家を訪問する。あるときホームの子どもであるミキちゃんが溺死するという事件がありミッチたちはそれを目撃する。子どもたちだけいた所で起こった事件なので溺死は事故とされる。だが彼らは生涯、この記憶に苦しむ。小説はミステリーのように進行する。作者にとって戦後史、孤児は他人ごとではない。ヨン子は作者ではないかと思ってしまうが物語には私小説らしさはない。スケールの大きな話なのだ。世界中の場所が出てくる。恐ろしい予言がありそのうち一つは福島の原発事故である。ここでは個人と世界がどちらも同じ重さで語られている。