すべての好奇心をレビューする――「ホンスミ!」

地図集

場所と時間にこれほど敏感な作品もめずらしい。マイナー文学というものがある。メジャー文学とは英米仏独あたりだろう。イタリア現代文学はややマイナーだ。カルヴィーノという作家がいる。南米文学という不思議な括りがある。ボルヘスらが属する。今名前を上げた二人の作家は自分の文学にいわば周辺かつ中心という意識を持っていたいたのではないか。それなら香港の作家はどうだろう。これほど周辺と中心に意識を持たざるを得ない立場があるだろうか。「地図集」は「中国返還前の香港を舞台に、虚実ないまぜの歴史と地理を織りあげることで「もう一つの香港」を創出する長篇「地図集」のほか」三作品を収録した作品集である。どれも現代文学の先端とローカルなそれとを併せ持ったいささか企みが強すぎる、それは作者の立場(ポストコロニアリズム)からは無理ないものである。