すべての好奇心をレビューする――「ホンスミ!」

独立国家のつくりかた

2004年に「0円ハウス」で衝撃のデビューをした著者の現状報告とでもいえる本。「0円ハウス」は卒論が原型の妹尾河童の「河童が覗いたヨーロッパ」を連想させた手書きのホームレスによる仮設住宅(矛盾だが)の紹介だったと記憶している。以降、建築しない建築家となった著者はいわば社会芸術家とでも呼べる活動を続けてきたらしい。こういう既存の思考方法とは合わない活動について説明するのは難しい。本書を読んでもらえばいいのだ。タイトルは「新政府を設立し、初代内閣総理大臣に就任した」ことから付けているのだが師とあおぐ中沢新一と違って行動派である。建築家というのは芸術家かつ事業家でなければならないのだから著者は立派に建築家である。なお著者は躁鬱病だそうで今回の本は躁状態で書かれたようだ。そこはちょっと割り引いた方がいいかもしれない。私が勝手に躁鬱症と診断している知人がいるが躁状態では驚くほど才能を発揮するがいかんせん欝状態では停滞してしまう。まあ著者は欝で沈潜し躁で蓄積を発散させるというように躁鬱症を有効に活用しているようなので頼もしいのだが。