すべての好奇心をレビューする――「ホンスミ!」

青い花

なぜか震災と戦争が起きて避難民となりながら避難所を出てドラッグを求めて彷徨う主人公の話で途中に会話もあるがほぼ独白が延々続く作品。最近読んだ小説で小説ともエッセイとも詩とも言えそうな文体で書かれている作品が幾つかあった。例えば「黄金の夢の歌」がそうだった。また理由とか不明でいきなり国内が戦場となって逃げる(この作品は逃げるとは違うのだが)というような設定の小説も多い気がする。かっては小説家の感性に必ずしもリアルなものを感じることは出来ずにいた。しかし東日本大震災以後なら十分リアルになってしまった。作家辺見庸はこのテーマにふさわしい。それにしても評価が別れるだろうな。実は辺見庸作品は初めてなので他の作品と比較できない。だから本作が代表作と言えるのか失敗作といえるのかもわからない。私は今年でこの作家だから書けた作品だと勝手に思った。なお「青い花」というタイトルは主人公がしばしば言及するかって見た青いコスモスの記憶から付けられているのだが実はドイツ・ロマン派のノバーリスの小説が有名でロマン派の象徴とされている。検索すると「無限なるものへの憧憬」「〈黄金時代〉へ人間存在が回帰してゆく歴史の神秘を啓示する力」を示する言葉だそうである。