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オオカミの護符

同名の映画の製作者が書いたオオカミ信仰のルポルタージュ。こう書くととんでもない田舎が舞台のように思ってしまうが実は舞台は作者の地元神奈川県川崎市でオオカミ信仰は今も健在なのだ。種明かしをすると東京奥多摩御岳山の武蔵御嶽神社の御嶽講のことである。そういう意味で同じ神奈川県の住宅から日本の近代の庶民のたくましさを描いた「ミドリさんとカラクリ屋敷」に通じるものがある。それは「ALWAYS三丁目の夕日」から東京スカイツリー人気まで通底するものではないだろうか。私の年齢(還暦)だとよくわかる。川崎や横浜の山の方つまり「たまプラーザ」に代表される人気住宅地は半世紀前はのどかな田舎だったのだ。さてそのオオカミ信仰」を今に伝える護符であるが古い民家の壁に残っていたりするので見たことのある人もいると思う。この本の表紙がまさにそれだ。この護符は御嶽講のメンバーに配られたものだが特殊な風俗ではない。オオカミ信仰は埼玉の三峯神社が有名だが神社ではオオカミは「大口真神」と呼ばれる。映画のサブタイトル「里びとと山びとのあわいに」が示すように山の神は里の民の信仰を受けてきたのだった。