すべての好奇心をレビューする――「ホンスミ!」

冥王星を殺したのは私です

とても面白い本だった。第一にまるで冥王星発見史の逆がテーマのようであること。勿論そんなことはなくカイパーベルト天体(海王星軌道より遠い天体)から冥王星より大きな惑星(第10惑星として話題になったエリス)を発見してしまった科学者の話である。それが科学の進歩といえばそうなのだが実に地味な探索の結果だったところも面白い。つまり皆がないと思い込んでいた常識を疑ったこその勝利だったのだ。そしてこの本は若き科学者の家庭の物語、結婚、娘の誕生と同時進行だったところがよかった。最後になんと科学史によくある発明・発見の横取りをめぐる物語でもある。横取りを企てたのは著者ではない。彼の観測記録がネット上のデータベースにあったことから割り出して発表を先取りした者がいたのだ。結果、ある惑星(冥王星よりは小さい)の命名者は彼になったが発見者は空欄という状態だそうだ。そなんなわけで冥王星はエリスらとともに準惑星という分類になり狭義の惑星(海王星が一番遠い)は8個となったのだった。