すべての好奇心をレビューする――「ホンスミ!」

伝説のCM作家 杉山登志

杉山登志といっても知っている人は少ないだろう。だが私と同年代以上の人なら彼の作ったCMを覚えているはずである。そして自殺したときの遺書で有名なのだ。「リッチでないのにリッチな世界などわかりません」で始まるCM作家だけに見事なコピーである。そして著者は元CMプロデューサーというおそらく珍しい経験を持つノンフィクション作家なのである。オーソドックスな評伝なのだが特徴がある。ひとつは証言の裏をとっていること。もうひとつは証言者の主人公への理解に異をとなえていること。同業者だけに思いいれが強い作品になっているのだろう。CMの歴史そして戦後高度成長期の証言でもある。