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SCRAP『人狼村からの脱出』

人狼ゲームというのはもともとはボードゲームだったらしい。それを大規模なイベントにしたのが、京都でフリーペーパーの発行などをしていたSCRAPという企画集団。はじめは自身のフリーペーパーでひっそりと告知されたものだったが、ふたを開けてみると応募者が殺到。「リアル脱出ゲーム」と銘打たれて全国に飛び火し、東京ドームでの開催や、はてはテレビ番組にまで発展した。現在は「人狼」だけでなく、「呪われたオーディション会場からの脱出」「潜水艦ポセイドン号からの脱出」といった具合に、バリエーションをさまざまに変えて開催されている。

そのSCRAPの企画を書籍にしたものがこの本。読者は人狼村を訪れた探偵になり、村人に紛れ込んだ人狼を見つけ出すという趣向である。もちろんそのためには、仕掛けられた多くの謎を解き明かさなければならない。僕が中学生ぐらいの頃にもこういった本が流行した。ゲームブック、あるいはアドベンチャーブックなどと呼ばれていた記憶がある。当時はすでにPCによるRPGなども登場していたし、僕も実際にプレイしていた。一方、ゲームブックのほうはいちいちメモを取ったり、自分で計算をしたりしなければならないから面倒くさい。それでも遊んでいたのはPCのソフトがおそろしく高価だったから。それに比べれば、ゲームブックは1000円でおつりがくる(たしか)。ゲームブックは、RPGという新しい世界に手っ取り早く連れて行ってくれるツールだったのだ。

だからこの『人狼村からの脱出』も、すいぶん懐かしい思いで遊んだ。昔と比べて、ビジュアルも洗練されているし、謎解きのレベルもほどよい。附属の地図とにらめっこしつつ、手がかりを見つけたらこれまた付属の捜査シートに鉛筆で(鉛筆じゃないと、間違えた時に訂正できない)、ちまちまと書き込んでいく。ずいぶんとアナログなことをしているなと自分でも思うけれど、そこで生まれる「体感」が心地いい。僕はコンピュータゲームも大好きだけれど、最近のゲームは製作者の考えた筋書きをなぞるだけで、まるで映画のよう。それはそれで面白く感じるときもあるけれど、どこか空しく感じるときもある。でもバーチャルなゲームがあるからこそ、リアルな「体感」を求めるゲームもどんどん発展し、洗練されてきた。両者はコインの裏表のような関係。だから、そのときの気分によって気軽に愉しめばよいのだ。