すべての好奇心をレビューする――「ホンスミ!」

平成猿蟹合戦図

「悪人」に続いての吉田修一作品。読み始めときは「悪人」と同じような作品かと思ったらだいぶ違っていた。ハードボイルドとユーモア小説という全く違うイメージのジャンルに属する作品だったようだ。しかし人物描写が丁寧な割にストーリーはかなり無理がある。これでストーリーも緻密なものになっていたら丸谷才一作品に匹敵しただろう。それにしても誰が主人公だかわからない話だった。主人公になりえた、それだけの魅力を持った登場人物だけで少なくとも5人。映画だったら助演賞ものの登場人物となると、ここで紹介文を読んだら8人の主人公たちと書かれていた。