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血盟団事件

「血盟団事件」という言葉は知っていても詳細は知らなかった。とはいえ驚くような事実が書かれているわけではない。テロである。軍部によるそれでも個人によるそれでもない。民間団体によるテロ事件である。日蓮主義者といわれてきたが実際はもっと素朴なものだった。強いていえば弱者によるユートピア願望(世界と個人の一体化)ではなかったろうか。それにしても現代の社会事情を見るととれも歴史上の事件とは思えない。原理主義者、オーム、多くの殺人事件を連想してしまう。彼らの共通点はいわば社会に絶望した若者のそれである。ある時期は軍部や右翼結社、学者に接近したがどれもが彼らの志向に合わなかった。結果は散発的なテロで終わった。そしてその成果はむしろ彼らの期待したものとは逆のものとなった。悲劇なのか喜劇なのか。現代社会は再び彼らを生み出すのだろうか。そうはならない気もするし案外すでに彼らは生まれている気もする。「海軍士官、エリート帝大生、定職に就けない若者など交わることのないはずだった人々が、カリスマ宗教家の井上日召と出会い凶行に走る」「事件後八十年を経てその真相に迫ったノンフィクション」です。