すべての好奇心をレビューする――「ホンスミ!」

夜の国のクーパー

伊坂幸太郎は不思議な作家だと思っていた。何がいいのかよくわからないのだが妙に魅力的なのだ。その謎がやっとわかった気がする。「あとがき」を読んで驚いた。大江健三郎のファンだったようだ。そういえば文体が・・・。不可能と思われる設定をしながら説得力がある。力技だ。大江作品の妙に違和感があるのに面白い、あの感じ、成功した時はとてもいい。例えば「同時代ゲーム」。
クーパーという怪物の伝説は考えてみれば四国の森にあってもいい。柵で囲まれた村しか知らない住民たちのもとに進駐してくる鉄国の兵士。まるで四国にやってきたアメリカ兵ではないか。そして猫と鼠が話し、猫語がわかる人間。この人間は大江作品に出そうな屈託している。伝説、メルヘンと現実、服従と反逆。伊坂幸太郎の成功作であることは間違いない。