すべての好奇心をレビューする――「ホンスミ!」

戯作・誕生殺人事件

いい意味でも悪い意味でも超ベテランにしか書けない作品。とは言え文章だけ見れば一見若い。勿論、この文章を老練なそれと表現することも可能。矛盾だらけの作品と合っている。ここでも前言を補足すると別に推理小説として矛盾があってダメな作品という意味ではない。そうではなくお約束的な部分とそうきたかという挑戦的な部分が中堅ならしないような矛盾があってある意味若手の破綻した作品のような違和感があるのだ。初めて読む読者は年齢を当てられるだろうか。著者も書いているがメタメタ推理小説なのである。具体的に書くとタイトルからしておかしい。通常「誕生」と「殺人事件」は合わない、しかも「戯作」なのだ。言葉が二重の意味を持つ。具体的にと書き始めて困った。推理小説を具体的に書いたらネタバレになってしまう。だから構成の部分だけしか書けない。全体はポテトとスーパーシリーズ最終作だそうでふたりに子どもが出来る話である。作中、ポテトが選考した推理小説新人賞の落選作が挿入されている。この部分は一段組、地の文は二段組で309ページという堂々の作品になっている。そしてスーパーは臨月期、ポテトは海外出張。クライマックスは嵐の中、密室殺人事件かと思ったら(しかし居るのはスーパーとお腹の子ども、そして本作の主人公美弥のみ・・・)違った。登場人物は多く、かなりの人は辻真先作品で登場済。ここでウィキペディアを見ると本当に圧倒される。とても一人の作品とは思えない。それというのも辻真先というのは基本、テレビの人だから。多彩さは当然なのだった。そして本作最後に書かれている作者のホームページを見てさらに驚き。いまだに同時進行で著作や文学賞の選考を行っているのだ。この後期高齢者にはとても戦後生まれはかなわない。なにしろこのシリーズは最初の「仮題・中学殺人事件」から40年なのである。そして美弥を中学生にした。とてもいまどきの中学生とは思えないが。