すべての好奇心をレビューする――「ホンスミ!」

『青鞜』の冒険:

サブタイトルがうまく本書を表現している。著者森まゆみは伝説の雑誌『谷根千』の元編集人。それだけに『青鞜』の評価は辛辣だ。要するにお嬢さん平塚らいてうの個人の雑誌だったということか。しかし地に足の着いた『谷根千』は雑誌としての評価は高くとも社会に与えた影響という点では『青鞜』に負ける。そこはちゃんと理解して書いているのだろう。こういう著者の立場が出すぎる評伝というのは通常はあまりいいものではない。だが本書は面白い。なにより雑誌編集の苦労を知り尽くしている著者自身の回想録としても読めるのでいわば1冊で稀有な女性2人の評伝+自伝を読むというおいしい本なのだ。そして「女三人のシベリア鉄道」もそうだったが対象となった女性に対する同性だから書ける覚めた視点もいい。それにしても「女三人」のときも同じような感想を書いている。つくづく森まゆみという人は雑誌編集向きの人だったのだと思う。つまり1冊に盛り沢山の内容を詰め込んで読者に新しい知識を伝えるという雑誌の魅力がわかっているということである。