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永山則夫

永山事件の裁判における精神鑑定書作成時に残された録音テープを元にした永山の伝記。優れた心理学者による歴史的な仕事でありそれを発掘した著者の作品もノンフィクションとして優れたもの。簡単にいえば殺人事件は偶然と永山の精神的欠陥によるもの。しかし後者ではあっても拳銃がなかったら殺人事件はおこらなかっただろうと思う。
また事件があったのが1968年だったというのが気になった。私は高校1年生だったのだ。この年の4月に私は12日にオープンした霞が関ビルに行っている。日本最初の超高層ビルである。大学は全共闘の時代だった。この2つの同年に起こったことを考えると戦後史の転換期だったのではないかと思う。貧困から繁栄へ共同体の崩壊。永山事件の歴史的意味は永山の処刑で終わったと思われている。しかしそうだろうか。