すべての好奇心をレビューする――「ホンスミ!」

レッドスーツ

いやあ、面白かった。いままでも小説の登場人物が作者に逆らうという設定はあったかと思うがこの話はテレビドラマの世界が実在したらどうなるかというアイデアで始まる。日本人SF作家が書きそうだと思った。でそのテレビドラマがスター・トレックのようなスペースオペラものなのだ。結果、毎週宇宙船のクルーたちから犠牲者が出る。しかし主な登場人物はなぜか無事、死ぬのはいつもその他大勢の要するにエキストラたち。彼はレッドスーツと呼ばれる。仮面ライダーのショカーたちが近いか。
実在しているクルーたちはたまったものではないので何とかしようとなる。解決方法まで書いてしまうとルール違反だろうから書かないがともかくうまくいったようだ。本書はここで一度終わる。だが終章が80pある。一人称、二人称、三人称と名付けられた3部構成。この終章は本編とは逆で現在の地球の話で実在したテレビドラマの世界がテレビドラマ製作者たちの世界に影響を与えた結果どうなったかといういわば後日談である。ここまでくるととても日本人作家には書けないのではないかと思えてきた。メタメタフィクション、二重のパラレルワールドである。ヒューゴー賞/ローカス賞受賞も当然ではと思った。