すべての好奇心をレビューする――「ホンスミ!」

セラピスト

今一番のノンフィクション作家は誰かと考えたら最相葉月ではと思った。なにしろテーマの幅が広い。一作ごとに新しい分野に挑戦している。これで彼女の作品を読むのは4冊目だがまるで別人ではと思ってしまう。中でも「セラピスト」が最高の出来だ。それというのも恐らく本人の関心が切実なものだったからではないだろうか。
具体的に書くと本書のテーマは心理療法、中でも箱庭療法と絵画療法である。それぞれ河合隼雄と中井久夫という有名な心理学者の開発によるものである。二人の心理学者の評伝としても心理療法とは何かという読み方でも十分満足のいく作品になっている。著者はこの作品を書くために(それだけではないだろうが)学校に通い実際に心理療法を受けている。今セラピストという言葉は非常に安易に使われている。この本を読むと本当のセラピストとはどういう人達なのかということがよくわかるはずである。英文タイトルはSilence in Psychotherapy。