すべての好奇心をレビューする――「ホンスミ!」

小さな異邦人

連城三紀彦の遺作集ということになるのだろうか。それにしてもなぜ今まで刊行されなかったのだろう。決して質が悪いわけではない。むしろ一級品といっていい短篇集である。収録作品は『オール讀物』に2000~2009年に掲載された7篇。甲乙つけがたい作品ばかりだ。確かに他の作家とは違った雰囲気があるので支持を受けないのだろうか。私は「奇妙な味」の小説が好きなので、この本はいいと思った。そもそもこれだけの作家がこのペースで執筆したらある程度の作品になるのは驚くことではないのだろう。
とは言え氏の作品でかなり確かな記憶にあるのは「戻り川心中」ぐらいでこれは1980年の作品である。20代や30代の読者が知らない可能性は大いにある。かってミステリー作家で氏のように叙情派といわれたのは他にもいたような気がする。それが妙に本格派だかの全盛期になって氏のような作品は薄味だとなったのではないだろうか。合掌。