すべての好奇心をレビューする――「ホンスミ!」

ヒエログリフ解読史

ロゼッタストーンから古代エジプトの象形文字であるヒエログリフを解読した話なのだがそれを成功させたシャンポリオンだけではなくロゼッタストーンの発見から現代までのいわば通史である。それは歴史とはなにか、学問(この場合は言語学)とはなにかを考えさせることかと思う。ロゼッタストーンには3種類の同一内容の文字が書かれており最後はギリシア語だったのでヒエログリフ解読に成功したのだがなぜギリシア語だったかというと当時のエジプトの王がプトレマイオス5世(碑文の内容は王をたたえるものだった)であり彼はキリシア人だったことによる。なぜエジプトの王がキリシア人なのか、アレキサンダー大王の征服により各地に彼の部下が王となっていたからである。なおその子孫があのクレオパトラでありプトレマイオス朝の後はローマの支配下に入るのだからギリシアからローマへの政権交代だったわけである。ロゼッタストーンはナポレオンのエジプト遠征で発見されナポレオン軍を破ったイギリス軍の手に渡り大英博物館に入ったのだがシャンポリオンはフランス人であり解読に使ったのは写本でロゼッタストーンの現物は見ていなかったのだった。話は変わり日本に「伊曾保物語」があるがこれは16世紀にイエズス会によりローマ字で刊行されたものが元になっている。それによると「誰」は「tare」とあるので当時は「たれ」と読んでいたことがわかるのだ。黄昏は「たそがれ」だが「誰そ彼」であり明け方は「彼は誰」で「かわたれ」という風に今でも使っている理由になっている。イエズス会の宣教師がギリシア人であるイソップの話を日本語(ローマ字)で書いたこととロゼッタストーンの話は妙に共通する気がする。なぜこんな話をするかというと本書の最後はロゼッタストーンの真の所有者は誰かという問題を扱っているからである。エジプトなのかフランスなのかイギリスなのか、著者はイギリスが管理者でありそれでいいじゃないかと書いている。イギリス人(大英博物館勤務)なのだ。これは攻めたり攻められたりを繰り返したヨーロッパの人間には理解できることと思うのだが日本はどうだろうか。