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新潮選書 手妻のはなし 失われた日本の奇術

手妻とは日本の伝統奇術のことである。これは手妻の全貌を紹介した本だ。奈良時代から形を変え受け継がれてきた日本の奇術は江戸時代に手妻と呼ばれ大成した。だが明治になると伝統文化が否定され絶滅に瀕した。著者は親が漫談家だったので子どもの頃から寄席等で奇術の世界に出会い存命中の師匠たちから芸を受け継いだ。手妻は歌舞伎や文楽(人形浄瑠璃)との交流から華麗でストーリーのある舞台や形の美しさ、仕掛けの工夫があった。江戸文化の爛熟期に完成されたのでおおきな舞台で金の掛かった興行を行い巷では解説した本が売れ教室が開かれ用品を売る店まであるほど発展し幕末明治には海外へ出かけ好評を博すまでになっていたのだった。現役の手妻の使い手である著者が学び調べた知識を込めて書かれた本書は大変よくできた日本文化論になっている。あとは著者の舞台を見るチャンスがあればいいのだが。