井塚章文の本棚

脊梁山脈 井塚章文の本棚

脊梁山脈

よくわからないところもあるのだがいい作品であることはわかる。タイトルからしてそうだ。バックボーン背骨という意味だろう。勿論日本の。主な登場人物は4人。うち一人は最初と最後だけに登場する。しかしその謎の人物によって導かれて主人公矢田部信幸は戦後史を生きる。目指すは木地師の再発見。前半は画家かつ呑屋(バ…
銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件 井塚章文の本棚

銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件

面白かった。タイトルから最後まで軽妙なファンタジックな作品。はっきり言って日本のお笑いでたまにあるシュールなコント。一気に読めてしまう。買うにはあっけないが借りて読む分には最高の出来。身長が毎日少しずつ縮んでいる!? 自分の心臓が爆弾になった!? 母親が97人に分裂!? 夫が雪だるまに変身!? 銀行…
人口減少社会という希望 井塚章文の本棚

人口減少社会という希望

挑戦的なタイトルだが内容はそれ以上にラディカル。地球倫理の構築を目指すそうだが反面現実社会の動向に対しては楽観的な面を見ているように感じる。面白かったのは「普遍宗教」(キリスト教のような世界宗教)とかグローバリゼーションの話。どちらも普遍的というのはある見方を肯定した場合にのみなりたつ考え方。地球倫…
サンダルで歩いたアフリカ大陸 井塚章文の本棚

サンダルで歩いたアフリカ大陸

てっきり「ルポ資源大陸アフリカ」の著者白戸圭一の本だと思って読んでいた。読み終えてもそう思っていてレヴューを書く段になって初めて読む著者だと知った。同じ毎日新聞のアフリカ特派員である。混同するのも無理ない。しかしなぜ本書で白戸圭一について言及していないのだろうか。私が気がつかなかっただけだろうか。せ…
伝説のCM作家 杉山登志 井塚章文の本棚

伝説のCM作家 杉山登志

杉山登志といっても知っている人は少ないだろう。だが私と同年代以上の人なら彼の作ったCMを覚えているはずである。そして自殺したときの遺書で有名なのだ。「リッチでないのにリッチな世界などわかりません」で始まるCM作家だけに見事なコピーである。そして著者は元CMプロデューサーというおそらく珍しい経験を持つ…
冥王星を殺したのは私です 井塚章文の本棚

冥王星を殺したのは私です

とても面白い本だった。第一にまるで冥王星発見史の逆がテーマのようであること。勿論そんなことはなくカイパーベルト天体(海王星軌道より遠い天体)から冥王星より大きな惑星(第10惑星として話題になったエリス)を発見してしまった科学者の話である。それが科学の進歩といえばそうなのだが実に地味な探索の結果だった…
星月夜 井塚章文の本棚

星月夜

なぜこのタイトルなのか。中身は完全に警察小説というのか、推理小説である。しかも「砂の器」を完全に連想させる。地方から東京に出てきて殺される。犯人は書かないでおく。…
さわり 井塚章文の本棚

さわり

「さわり」とは元々、三味線や琵琶といった邦楽器の構造で糸を本体に触れさせ、その音とともに 軽い雑音を生じさせるものらしい(表紙の写真はその場所か)のですが転じて(どう転じるのか不明ですが)最大の聞かせどころを意味するようになったらしい。さらに物語の最初の部分と誤用されているという。本書で特にこの言葉…
人道的帝国主義 井塚章文の本棚

人道的帝国主義

刺激的なタイトルだが内容も凄い。民主主義のために他国に介入するという新たな帝国主義を批判している。圧政に苦しむ民衆を見過していいのかという普通の考えからは納得できない主張だろう。だがそうした介入が決して理想のために行なわれているのでないのはイラク戦争を見れば誰でもわかる。著者の立場は要するに国際法や…
トリステッサ 井塚章文の本棚

トリステッサ

「オン・ザ・ロード」のジャック・ケルアック作品。メキシコで出会ったモルヒネ中毒の美人の話。タイトルはその美人の名前なのだが訳すと「悲しみ」だそうだ。チャールズ・ブコウスキー「町でいちばんの美女」に似て美しも悲しい物語。刊行は1960年である。リアルタイムで見た「イージーライダー」(1969)もメキシ…
ウイルスと地球生命 井塚章文の本棚

ウイルスと地球生命

ウィルスというのは種類も数も膨大だという話。しかしウィルスとはなんなんだというところが元々わからなかったけどますますわからなくなった。こういう書いてる方は知りすぎている(であろう)基本的な知識を一般に伝えることというのは難しい。そもそも地球生命というタイトル、これがわからない。地球外生命はわかるが単…
ウナギ大回遊の謎 井塚章文の本棚

ウナギ大回遊の謎

今年の土用の丑の日7月27日は、気温も高くウナギを食べたくなったが値段を見て敬遠するしかなかった。なぜ値上がりしたかといえば勿論、ウナギが減っているからである。昔はウナギはお客さんに出す食事だった。それが一年中、スーパーで安く買えるようになったのだから採れる量が減るのは当然だ。著者は天然ウナギをあき…
コンニャク屋漂流記 井塚章文の本棚

コンニャク屋漂流記

著者、星野博美の実家は東京五反田の町工場である。しかし祖父の出身は千葉県外房の漁師の家でその屋号が「コンニャク屋」だというのだ。ちなみにその一族は和歌山の出だということでルーツ探しに行くのだが外房という言い方が通じないのに東京出身の私は驚いた。おそらく東京東部の小中学校の臨海学校は皆かっては内房にあ…
ジェントルマン 井塚章文の本棚

ジェントルマン

「学問」のあとが「紳士」というのも意味深。実際、一見紳士だが実は怪物の話である。「学問」同様、同級生の話だ。同性愛の話なのだがむしろ怪物としての人間(心太(しんた)は人を魅了する性格が常人を超えている。と「学問」の感想に書いたが今回はその裏バージョンなのか)の話で結末はふさわしい。なにかフランス文学…
曾根崎心中 井塚章文の本棚

曾根崎心中

「ひそやかな花園」を読んで以来の角田光代作品。だいぶ違う。現代小説と時代小説、今回は原作(近松門左衛門)があるとこ。だがよく知らないのだがライトノベルというのは質はともかくこういう環境と個人の関係をテーマにした作品が多いのではないだろうか。逆にいえば近松作品はギャルたちにも受けるはずなのだが。しかし…